お金と生活の知恵、時々ふつうの30代

少しだけ金融に詳しい普通のサラリーマンが、お金や投資や生活について日々気付いたことをつぶやきます。

「危機時」に有効な私のインデックスファンド押し目買いルール

以前、私の投資信託の積み立てに関してどのような考えのもと配分を決めているかを説明しました。

今回は、具体的にどのような投資信託の買い方をしているか、更に一歩踏み込んで「危機時」(リーマンショックや昨年のコロナ暴落など、世界的に株式相場が数ヵ月以上に渡って下落する時)にどのように対応しているかについて説明しようと思います。

基本の買い方:毎月一定額を粛々と積み立てる

これはなにも特別なことはありません。文字通り、株式市場が上がる日も下がる日も、雨の日も晴れの日も、なにも変えずに同じペースで積み立てていきます。私はネット証券を使っていますが、証券会社によって選べる買い付け方法は「毎月決まった日に1回」、「月々の投資総額を決めてそれを分割して毎日」、「好きな金額を月のうちの好きな日を選んで」、という具合に色々あります。どれにしよう、と悩むかもしれませんが、最終的には大差ありません(長期のバックテストでは小口にする「毎日」がわずかに高いリターンになりますが、まあ誤差の範囲です)。

最近投資を始めた人は、本格的な「低迷相場」を知らない

ツイッター界隈などで投資関連の方々を色々見ていると、インデックス投資は全世界や米国などが人気が高いようです。私の勝手な印象で恐縮ですが、この1-2年以内に投資を始めた、という方が比較的多いように見受けられました。そのような方は、コロナショックの暴落は経験していても、長引く「低迷相場」を経験したことはないと思われます。なんせ、世界的な「不況」もリーマンショック以降ありませんし(厳密にはコロナ後は「不況」になりましたが反発も歴史的なスピードだったのでちょっと感覚としては別物)、アメリカのS&P500という株式指数は過去10年(というかリーマンショック以降)を見ると何回か調整はしたものの基本的には右肩上がりですから。

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つまり、長引く不況による絶望感(「もうマーケットは戻らないんじゃないか」)や、遅々として上昇に転じない株式指数を沈む気持ちとともに眺め続ける、という経験がなく、それに伴う精神的な変化(上がっているときは誰だって楽観的ですし、今後それが続く気がしますし、往々にして「自分は投資のセンスがあるかも」と思い上がるものです)も知らないわけです。

しかし、このような低迷時期は遅かれ早かれ「必ず」やってきます。その時、どうしますか?

私の危機時の買い方:「一定以上下がったら自動的に買う」ルールを設定する

相場が暴落したり、暴落後もじりじりと下がり続けるときというのは、いつ底を打つかが分からず、どこまでも転落しそうな気がするものです。そんな状況でやると決めた積立投資を続けるだけでも大変な我慢が必要です(なんせ、下がり続ける中買い続けるわけですから)。しかし、必ずいつかは株価は底を打ち、(そのペースは予測できないにせよ)上昇に転じます。そして、安心できるレベルまで上昇が加速したり、景況感が最悪期を脱したりしてくると、「下がっているときになんで買わなかったのだろう」と悔しがるものです。

私は、(1)リアルタイムで「いつが底か」を当てることは不可能である(2)しかしいつかは必ず底を打って上昇に転じる、ということを是として、「一定(%)以上下落したら、機械的に単発で買い増しをする」ことにしています。これはあらかじめルール化しておくことが大事です。渦中にいるときにどういうルールに従って買うかということを考えるのは大変難しいので。そして、買ったところから更に下がっても気にしないことです(むしろ、もう一回買えるチャンスがくる、と考えます)。

色々な「ルール」の変数を変えてみて、過去の株式指数のデータでバックテストしてみたところ、個人的に「ルールが発動される頻度」と「そこで押し目買い(下がったところで買う、という行為)をした場合の累積のリターン」のバランスがよいと感じたのは、以下のルールです:

「過去2年間の高値から20%以上下落」したら押し目買いをする

検証した他の条件としては、例えば「過去2年間」の代わりに「過去3年間」・「過去1年間」や、「20%以上下落」の代わりに「10%以上下落」・「30%以上下落」です。また、対象とした株価指数は、日経225、MSCI先進国株式インデックス、MSCI新興国株式インデックスの3種類です。まあつまりこの組み合わせを全て検証してみたキモイ人が私というわけです。

「30%以上下落」だとルール発動頻度が非常に歴史的に少ないので、押し目買いをするチャンスが少なすぎると感じましたし、「10%以上下落」では逆で押し目買いの回数が非常に多いわりに、(下落率が小さく浅いので)そこからのリターンも小さく、結局積立額以上に押し目買い額が膨張してしまうことで長期の「積立投資+時々押し目買い」の予算を組みにくいと感じました。その点、「2年間/20%」は「ほどよい」気がしました。実際、ITバブル・リーマンショック・2015年のミニ下落相場・コロナショックと全てにおいて(上記3つのインデックスのどれかあるいは複数で)押し目買いの機会は到来していて、全て長期的にはパフォーマンスにはプラス寄与したというのがバックテストの結果でした。

 

以下のグラフは、2019年以降についての実際に私が買っている先進国インデックスファンドと新興国インデックスファンドのグラフです。

二つのグラフいずれについても、

青いグラフ(右軸):過去2年間の指数の高値に対しての下落率(つまり、その時が最高値の場合は上の方のゼロ%に張り付く)

赤いグラフ(左軸):そのファンドの基準価額推移

青い〇:「20%下落ルール」に基づいて実際にスポットで押し目買いをしたタイミング

となっています。

先進国インデックスファンド

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新興国インデックスファンド

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このように自分でルールを決めて押し目買いをすることにすれば、不況が訪れ、株式市場が低迷しても、「いつかはまた必ずよくなる」という信念さえ持ち続けることができれば、むしろこのような押し目買いのチャンスは怖いどころか「たまには来てくれても構わない」とさえ思えるようになります。無論、このような時期が来た時のための軍資金をこしらえておく必要があることは言うまでもありませんが。

これを2020年に実際にやったのに、今となっては「もっと買えばよかった」と思ってしまうのが、人間の欲望というものですが・・。

 

ひとまずおしまい