お金と生活の知恵、時々ふつうの30代

少しだけ金融に詳しい普通のサラリーマンが、お金や投資や生活について日々気付いたことをつぶやきます。

うちの子供の贈与・ジュニアNISAスキーム(3):「贈与契約書」を作って金銭贈与をする

今回は「うちの子供の贈与・ジュニアNISAスキーム」の三回目です(一回目二回目)。

実際に実行し始めているプランの骨子

  • 毎年年初に「金銭贈与契約書」を作成し、一定金額を贈与する(子供名義の銀行口座へ振り込み)
  • それを子供名義の証券口座へ移し、ジュニアNISA枠を活用し毎月積立投資する(2021~23年の3年間)
  • 2024年以降は現行のジュニアNISA廃止により新たな非課税枠はなくなるが、通常の積立投資を続ける
  • (予定)二十歳になったら、銀行・証券口座の実質的な管理権限を本人に移譲する

はじめに①:なぜこのような煩わしい「贈与の正式な手順」をわざわざ踏むことにしたか

子供のためにジュニアNISA口座でお金を運用している人は多数いるので、それ自体は決してレアなことではありませんが、おそらくわざわざ贈与契約書を作成して・・とまでやっている人は比較的少ないのではないかと思います。

私はこれをやっている理由は大きく三つあります。

  1. 税金的に万全を期したい、後から自分のうっかりや税務署の突っ込みから税金を余計に取られるというような落とし穴を避けたいから
  2. 子供に対しての金融教育の一環としたいから(お金についての一つの対話の話題になりうる)
  3. 本格的な贈与や相続ということがより身近になる将来に向けて今から「小さな、しかし正式な贈与」を実行することで経験を積んでおきたいから

はじめに②:お金の流れの整理

子供がゼロ歳児なもので、まだお小遣いもなにもありませんが、長期的な資産形成をできる限り早く開始する(そしていずれ私の死をもって発生することになる相続を待たずして資産の移転を開始することで計画的に相続税を抑制する)ための最初のステップは「資金の移転」です。

具体的な流れとしては、

私名義の銀行口座→[贈与]→子供名義の銀行口座→子供名義の証券口座

となります。(ということは、贈与(とそれに続くジュニアNISAでの運用)を始める前に、まず子供名義の銀行口座子供名義の証券口座を開く必要があります→これについてはまた別記事にでも)

贈与でお金が動くのは最初の「私名義の銀行口座→子供名義の銀行口座」の部分ですが、そこから先(子供名義の証券口座)も当面実務上は親権者である私が管理することになります。子供が15歳以上になれば(本人が希望すれば)自分で管理することもできますが、二十歳までは(入金するのが私なので)少なくとも一緒に話し合いながら管理することを現時点では想定しています。

 

ここから本題です。

毎年「金銭贈与契約書」を作成して一定金額を贈与する

子供のためにお金を使う場面は当然たくさんあるわけですが、それとは敢えて分けた形でお金を「贈与」することにしています。

贈与 とは | SUUMO住宅用語大辞典

↑がごくごく簡単な贈与の意味です。少額の金銭の贈与については、基本的に契約書云々を気にすることはありませんが、暦年贈与(贈与を受ける者(受贈者)が一年間で合計110万円までは贈与税を課されることなく贈与を受けることができる)の上限に近い金額を十年単位で実施する場合は、累計金額がそれなりになるので「あとから税務署にいちゃもんを付けられないようにするために」贈与契約書を作ることにしています。

また、子供が大きくなった時に(理解できるようになるのは高校生以上くらいか?)、親子といえどもきちっとこのような形でお金のやり取りをしているということが分かるような、記録としても契約書を作っておこうと考えました。

贈与契約書の作成方法

私が参考にしたのはこちらのひな形です(千葉銀行より)。

このひな形の親切なところは、スタンダードな金銭贈与契約書(P1)に加えて、「受贈者(子供)が未成年で自ら署名できる場合」(P2)と「受贈者(同)が未成年で自ら署名できない場合」(P3)のパターンまでまとめて載せてくれているところです。贈与とは「あげる側」と「もらう側」の双方が贈与に合意して初めて成立するので(一方的にどちらかが「あげるだけ」「もらうだけ」では贈与と認められない)、意思も理解もない赤ちゃんに贈与できるのか?という疑問に対する答えは「可能」です。ただ、その際署名は誰がどうすればよいのかがちょっと分かりにくかったです。

子供が幼くて自らの意思で署名ができない間は、ひな形のP3を使います。下のピクチャーの通り、甲(=贈与者)は私が署名して、乙(=受贈者)はまだ赤子なので「法定代理人」として妻が署名をします。これでOKです。

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出所:千葉銀行

子供が自ら署名できるようになったら(区切り的には小学校に上がるころとか?)、ひな形のP2を使う予定です。実は、この時に贈与者の私は「甲」の欄だけでなく「乙の親権者」の欄にも署名をすべきなのか、ここは妻だけが署名をすれば事足りるのかは、まだはっきり分かっていません。まあ細かいことなので契約書が無効になるような間違いにはどのみちならないと思っていますが。

贈与契約書の日付

贈与契約書には「契約を締結した日付」が必要です。これは毎年1月中に行う方向で考えています(日にちは適当な都合のいい日で可)。年初は区切りとして分かりやすいのと、1月なら贈与してすぐに子供名義の銀行口座へ入金→それを証券口座へ入金することで1月からの12ヵ月間に均等に積立投資をできることが理由です。

契約書の中にはもう一つ日付があります。それは、贈与する現金を受贈者(=子供)名義の口座に振り込む期日の日付です。この日付は上の贈与契約書の締結日と異なっていても問題ありません。贈与契約書の締結日は契約書が効力を持つ日、振込期日は振込期日で別物なので。まあでも、便宜上一緒にしておくのが分かりやすいかもしれません。

贈与金額は?

金額の設定については、

(1)現在のジュニアNISAの金額上限が80万円/年であること

(2)暦年贈与の上限が110万円であること

を考慮して、私は区切りよく100万円としました。例えばですが、子供が生まれた翌年の年初から贈与を始めれば、二十歳になる頃にはちょうど100万円×20年=2,000万円の資産を移転できることになり、数字としても暦年贈与の上限いっぱいいっぱいを使い切ることよりも「区切りのよさ」を優先することにしています。

金額はお好きなように、だと思いますが、せっかく子供用にNISAを使うのであればその枠はなるべく多く使った方が得だと思います。

「111万円贈与して1,000円の贈与税を申告すればOK」はリスキー

なお、「暦年贈与上限110万円を少しだけ超える贈与をしてわずかでも贈与税を払うことで税務署に『ちゃんと贈与税払って贈与しているよ』アピールをする」という手法もちまたでは薦められているらしいですが、これは逆に悪目立ちする可能性があるため、推奨されません。税務署からすると、「ほう、わずか1,000円の贈与税を払う贈与税申告をわざわざやっているのか。何か事情でもあるのかな?どれどれ、この贈与申告書は受贈者が出さないといけないけど・・ん、筆跡からすると大人だな。ということは贈与者が代理で出してるのだろうな。ん、受贈者は乳(幼)児か。ちゃんと贈与者と受贈者の間で合意しての贈与なのかな?ん?これ毎年やっているのか。ん、実際は定期贈与だったり名義預金に該当するんじゃないか?」・・というように、変に目立つ可能性があるそうです。もっとも、税務署もこのような相対的に小粒な案件ではいくら調べたところで取れる追徴課税はたかだか知れてるので、実際は調査官の実績としてはもっと大きな案件を狙うことが多く、この程度の案件に税務調査が入ることは少ないかもしれませんが。

 

長くなってしまったので、無事に贈与が終わった後の証券口座入金→ジュニアNISAで積立投資、はまた次回