お金と生活の知恵、時々ふつうの30代

少しだけ金融に詳しい普通のサラリーマンが、お金や投資や生活について日々気付いたことをつぶやきます。

投資をする前に問うべきこと:「自分はどれだけの時間・労力・手間を投資に振り向けられるのか?」

前投稿(↓)の続きです。

 

こちらの記事について書いてみようと思います(Part2)。

 

いくつか主張をなさっていますが、主なものの一つとして、

  • 「積立型の投資信託」で「投資」や「運用」するのはおやめなさい

というのがありました。

具体的には、「ドル・コスト平均法」という、定期的に(例えば毎月、決まった日に)一定額を買って積み立てていく方法で投資信託を買うことに対する批判です。

(※ドル・コスト平均法の概要説明は↓辺りで解説)

ドル・コスト平均法とは?上手に利用するための2つのポイント | みずほ銀行

 

確かに、「安く買って高く売る」ことを確実性高く行うことができるなら、ドル・コスト平均法などという手法は用いず、安いと思ったところで買い、高いと思ったところで売れば良いのです。そして世界一のお金持ちになればいいのです。しかしそれは実は大変難しいのだよ、ということを前回書きました。

インデックス連動タイプの投資信託にはドル・コスト平均法は最適

投資信託と言っても色々な種類・目的のものがあります。代表的なところだと、例えばテーマファンドなどと言われるものは「その時の流行に投資したい、けど個別の株を買うのではなく詰め合わせで買いたい」人が買う投資信託(ロボット、5G、バイオ、とか)。あとは一般化したインデックスファンド(特定の株式などの指数と概ね連動するように設計された投資信託)。

私は後者のインデックスファンドしか自分でも買いませんが、まさにこのような地域・資産の種類(例:株・債券)等色んな意味で分散した投資信託を買うにはドル・コスト平均法は最適なわけです。前述の分散に加え、ドルコスト平均法で買うことで時間の分散も図れるので。

まあしかしこの話はもうよく知られたことで、何も目新しさはありません。ただ、私が「ドル・コスト平均法投資信託(基本インデックスファンドのみ)を買う」理由は別にも一つあります。

それは、「大して時間や手間をかけないことと引き換えに、長期の時間軸でそこそこのリターンを得るには投資信託ドル・コスト平均法で買うのが適当」と思うためです。キモは、「大した時間や手間をかけない」という割り切りで、それ相応のリターンがあればよい、ということです。逆に、「それなりに多くの時間や手間」をかけて調べた個別株への投資には、より大きなリターンを追求したいわけです。この両方を同時並行的に使い分けています。

金融商品への投資を検討する時に、自分に問うべきこと

どんな金融商品を買おうか、と考えた時(個別株、投資信託(株だけ、債券だけ、コモディティREIT、これらの組み合わせ等)、最近だとビットコインに代表される暗号通貨とか)、人々はどのような自分の基準を当てはめて選ぶのでしょうか?当然「儲かるもの」と言いたいところですが、それ以外で挙げると、

  • リスクの大きさ(上がるとき・下がるときの振れ幅の大きさ)
  • 投資先の分散度合い
  • 手数料

辺りが定番でしょうか。そして個別株にしても投資信託にしても、その中身(個別株ならその会社が事業を行っている産業の成長性、その会社の競争優位性、財務の状態、割高・割安かの各種指標等)がさらに色々とあって、実際に買うにあたっては吟味しないといけません。

これらに加えて、実際には考えるべきだけどあまり考慮されないのが、「自分はどれだけの時間・労力・手間(代表して「投入労力」とでも呼びましょう)をこの金融商品につぎ込めるか(つぎ込みたいか)」ということです。

例えば、一日24時間のうち睡眠8時間、仕事4時間、投資に10時間・・という配分でハッピーですという人なら、投資先についてこれでもかというくらいに調べまくるでしょうから、その分だけリスクが高いと言われる金融商品に資金を投じるのは構わないと思います。そしてめでたく高いリターンを得ることができたら単純におめでとうだし、失敗して大きく損をしても(それだけ事前に労量を投入しているので)何がうまくいかなかったかなどの振り返りから次への示唆や教訓を得ることができるので、良いと思います。

しかし、家庭や仕事に投じる時間が多く、投資に対して割ける投入労力が限定的な人(多くの人はこっちだと思います)は、自分の投入労力と釣り合いの取れたリスクを持つ金融商品に投資する、という視点も持つべきだと思います。

式っぽくすると:

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「自分のポートフォリオ全体として」とわざわざ書くのは、例えば投入労力「小」の人でも投資資金100万円のうちの一部分(10万とか20万とか)を比較的ハイリスクな個別株に投じてもよいと思いますが、大部分は分散されてリスクも比較的小さめの商品に投資すべき、と考えるからです。

やってはいけないのは、投入労力「小」なのにポートフォリオ全体としてリスクの大きい金融商品に資金の大部分を投じてしまっているパターンです。これをやると、結局は日々の評価額の振れに一喜一憂した挙句、暴落でもしたら我慢ができなくなって最悪のタイミングで損切りをしてしまったりするわけです。そしてそのような火傷を負った人は二度と投資などしなくなり、↑の記事の執筆者のような投資に対して否定的な意見を見ると「そうだそうだ、投資をやらないと損だとかあほなことを言うな、ちゃんと現金を持っていればいいんだ」と全力で同意することしかしなくなるのだと思います。

なので、「自分は、実際のところ、どの程度投資に時間や集中力と言った「限られた資源」を割けるのか?」を十分自問自答して、ある程度レンジでもよいので答えを出してから投資は始めるべきだと思います。そして、最初から投入労力は大でOK、バンバンハイリスク商品に投資するぞ、というのはやめるべきで、自分に問うた上で最初はリスクが相対的に控えめなところから始めるべきと思います。

そして、それに最適なのが、投資先が分散された金融商品(例:インデックスファンド)に、時間の分散を加えた手法(例:ドル・コスト平均法)での投資である、と思うわけです。

つまり、リンク先の記事で書かれているように(自分の判断に自信を持った人が)「安いところでたくさん買い、高くなったところで売る」ことをしたいなら、そもそも投資信託が投資先であるべきではないのです。その意味で、記事の批判は的外れだなあと思った次第です。

 

さて、投入労力「小」⇔自分のポートフォリオ全体として許容できる投資リスクも「小」と書きましたが、この絡みで投資をしたいという人が手を出すべきではないことについて今度書こうと思います。

予告として、例えばこういうやつです:

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