お金と生活の知恵、時々ふつうの30代

少しだけ金融に詳しい普通のサラリーマンが、お金や投資や生活について日々気付いたことをつぶやきます。

「積立投資はやめなさい、安く買って高く売れば良い」は実践がとても難しい

今日はこちらの記事について書いてみようと思います。

主だった主張は、

  • 「純金積立」は「コツコツ積み立てる」と聞こえはいいが、おやめなさい
  • 「積立型の投資信託」も同じで、これで「投資」や「運用」するのはおやめなさい
  • 投資は「安く買って高く売る」から儲かるのであって、定期的に同じ金額を買う「ドル・コスト平均法」は売り手に手数料が入るだけなのでおやめなさい
  • おやめなs(以下略

悪いのは「積立という投資手法」でも「ドル・コスト平均法」でもなく、「聞こえはいいけど実際には手数料率が高くて類似商品よりも手元に残る儲けが少なくなる金融商品」である

まずは、「純金積立」があまり推奨されるべきではないということ自体は同意。なんとな~く金だと安心できそう(価値がゼロにはならない)、世の中が崩壊しても金は金で価値を保ちそう、などの理由で買うのはあまり意味がないと思います。

また、「手数料が高い」のもその通りだと思います(年会費、購入時の手数料、金の保管代、売却時にも手数料)。一般的な金融商品で、投資する額に対して年間で2-3%以上もの手数料を取られるものは「高い」と思って間違いなく、よほどの理由がなければ購入すべきでないと思います。

「安く買って高く売ればいい」の実践は難しい(できるならだれも苦労しない)

他方、「価格が安い時にまとめて買うことができない」とのことですが、批判している「純金積立」ではこれができず、「通常の『金』」ならできる、という主張のようです。しかしですね、実際には「安い時に(下がった時に)買い、高い時に(上がった時に)売る」ということこそ、「言うは易く行うは難し」の地球代表です。これができれば誰も苦労しないし、投資を生業にしてる「プロ」だったら全員ウハウハのはずです。

なぜ難しいかというと、「将来を読むことは難しいから」に尽きます。金にしても、投資信託にしても、株式にしても、将来の値動きはその商品の将来の需要・供給、企業業績(←これを当てるのも大変なこと)、政治・地政学、等多くの要因に影響を受けるためです。

試しに、ある会社の株価推移グラフを見てみるとしましょう。後から振り返れば「ここで買って、あそこで売ったらめちゃくちゃ儲かるなー」などと想像することができますが、「実際にその時点で同じように思えたか?」を問うゲームです。二つの図(ケース1、ケース2)は同じ会社の異なる時期の株価のチャートで、ここから上がったか・下がったか、グラフを見ただけで自信をもって答えられますか?

ケース1

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ケース2

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どちらの場合にも、幸運にも上がり始める前に買っていれば、点線矢印の分岐時点では50-60%程上昇しているので、100万円投資していれば50-60万円の儲けが出ている状態です。ここで「更に上がるから保有を続けよう」(=まだ高くないから売らない)と考えるか「そろそろピークだ、売っておこう」(=高くなったので売ろう)と考えるかでは随分結果は違うわけで、果たしてリンク先の記事のように簡単に「高くなったら売ればいいんだ」と判断できるのでしょうか?

それでは、種明かしをすると・・

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ケース1では「高値だ、売ろう」が、ケース2では「まだ上がる、保有継続」がそれぞれ(後から見れば)ベストだったことになります。

その時々で実際に判断する材料は様々でしょうけど、振り返ればケース1では「欲張らずに50%も上がったんだから売ればよかったのに」と、ケース2では「前回の高値は750円を超えてたので、保有継続して当然でしょ」と言えますが、「5-6割上がっている状態で迷いなく自信をもって判断できますか?」ということです。仮に自信満々で決断して当たったとしても、それが「なぜ」当たったのか、次に似たような状況になった時に「再現性があるか」は別問題になります。

 

既に長くなってしまったので、続きはまた次回