お金と生活の知恵、時々ふつうの30代

少しだけ金融に詳しい普通のサラリーマンが、お金や投資や生活について日々気付いたことをつぶやきます。

「一日当たり100円」の目安

前回の記事を書いてから2年以上経ちました。あっという間です。その間にコロナが蔓延したり、その結果働き方(に対する基本感)が大きく変わったりと、この数年ではなかった大きな「変化」が起きましたね。

さて、色々ここで書こうと思うもうことはあるのですが、「ちゃんと順序だてて書かないと」とか思うと手が動かない。というわけで、いきなり個別のトピックとかになるけど、とりあえず書いてみないと始まらない・・と。その代わりカテゴリーの管理をしっかりやって、後から振り返ったり、以前のエントリーと最近のをつなげたり・・とすればいいんですね。頑張りましょう。

 

 「一日当たり100円」の目安

さていきなりですが、昔会社の先輩に教えてもらった、自分の金銭感覚のチェック機能としていいなと思っているのが「一日当たり100円」の目安、というものです。

どういうことかというと、何かモノやサービスを購入する時、「一日(一回)当たり100円以内に収まっているか?」をざっと頭の体操として計算して、それが高いか安いかの判断材料の一つとします。

言い換えると、そのモノやサービスから自分が得られる価値や満足感(以後「効用」と表現)が「一日100円以上」相当なら買ってもよいかも、100円未満ならちょっと割高かも、と考える自分の中の物差しみたいなものです。

具体例だと、例えば新しいスマホを買いたいとします。本体価格が5万円の物、15万円の物の二種類あって、どちらにしようか?それぞれ機能・ブランド・その他思い入れ含め定量化が難しい価値を提供してくれるのかもしれませんが、ここではあえて「これから買うスマホのために一日当たり100円払うとすると、何日間使えば元が取れるか?(何日間使えば一日に得られる効用が100円以上になるか?)」と考えます:

5万円のスマホ  50,000円÷100円/日=500日≒1年4ヵ月

15万円のスマホ 150,000円÷100円/日=1,000日≒4年1ヵ月

5万円のスマホは1年4ヵ月程度の使用で「元が取れる」と考えます。よほど手荒い使い方だったり不慮の事故により壊してしまったりでもしなければ、これくらいは問題なく使えるでしょう。

一方、15万円のスマホは、4年以上か・・。充電池の劣化、スペックの陳腐化、次のモデルを欲しくなる物欲・・などを考えると、個人的には少し回収期間が長く、ちょっと厳しいです。

なお、反対の考え方として、5万円のスマホを2年使った場合・3年使った場合、「一日当たり」いくらに相当するか?を計算すると:

2年間使用: 50,000円÷(365日×2)≒68円

3年間使用: 50,000円÷(365日×3)≒46円

つまり、5万円のスマホを3年間使い倒せば、一日当たり換算では46円の支出に相当し、スマホ使用によって得られる効用の対価としては十分・・と考えられます。

(ちょっとずれるけど)「減価償却」の概念との関連

減価償却とは

会計用語で、「減価償却」というものがあります。

例えば、30万円で一括購入した薪割り機があって、それで割った薪を販売する事業をやるとします(※薪割りは大変な重労働です)。実際のお金の動きとしては最初に30万円の現金支出があって、割った薪の販売に応じた売上が立ちます。薪割りビジネスを5年間続け、毎年同じ額の薪を販売(適当に10万円/年としましょう)した場合に、もしも「減価償却」の概念を収支に導入しなかったら、

初年度:売上10万円ー経費(薪割り機)30万円=20万円の赤字

2年目~5年目:売上10万円ー経費0=10万円の黒字

5年間累計:売上50万円ー経費30万円=20万円の黒字

となります。

実際は薪割り機は毎年継続して使っていて売上も毎年同じなのに、見かけ上の損益が(薪割り機の購入代金をすべて負担している)初年度だけ赤字となる一方2年目以降は経費がゼロということになり、実際の収支の状態をうまく反映していないことになります。

ここで、「減価償却」の概念を導入すると、「薪割り機は確かに最初に一括で買ったけど、5年間等しく使い続けているので、出費をその5年間にわたって均等に経費として計上した方が、より実態に即した収支を見ることができる」となります。

すると、

初年度:売上10万円ー経費(薪割り機の減価償却費)6万円=4万円の黒字

2年目~5年目:売上10万円ー経費(薪割り機の減価償却費)6万円=4万円

5年間累計:売上50万円ー経費30万円=20万円の黒字

となります。

5年間累計の損益は結局減価償却を使わない計算と同じですが、実態としてどの年も売上は10万円で毎年の経費の大きさは変わっていないので利益も4万円の黒字で同じ・・とより実態を表した収支になります。

スマホが「一日当たりいくらの出費に相当するか」「何年間使えば元が取れるか」と減価償却の考え方

前置きが長くなりましたが、話を戻すと。

5万円のスマホを耐用年数(大体これくらいの年数は壊れずに普通に使えるはずだ、という目安)3年と設定すれば、一日当たりのスマホの「減価償却費」は46円であると↑での計算しました。

これはつまり、

「一日当たりの効用100円>一日当たりの減価償却費46円」

ということで、自分の中では「買うに十分値する」ということになり、薪割り機の例でいうところの「一年間の収支が黒字である」に相当します。

 

一方、15万円のスマホでも、「耐用年数は3年くらい」という目安を当てはめると、一日当たりの減価償却費は 150,000÷(365×3)≒137円 であり、

「一日当たりの効用100円<一日当たりの減価償却費137円」

となるため、自分の中では「赤字になるスマホ購入」と判断され、結果買うのをやめます。

もちろん、この「一日当たり(の効用)100円」という金額は人それぞれ設定していいわけで、とてもケチ・・もとい節約志向の人だったら30円だったり、逆に消費から得られる喜びを大きな価値と考える人は150円だったりでもいいのですが、「普通の人」が「普通の金銭感覚」の目安となる定量的な物差しとして考えるなら、100円というのは切りのいい数字でもあるし、いい目安だなーと思っている次第です。

嗜好品に当てはめる「一日当たり100円」

最後に、これはスマホのように毎日使うものだけでなく、たまにしか使わないものにも適用できます。ただし、使用頻度が少なければ当然100円の水準をクリアすることは難しくなるので、そこは他の定性的な「効用」を考慮しないと、判断は難しくなります。

例えば、「お値段12万円の上級者向けスキーブーツ」「お値段15万円の上級者向けカービングスキー

・・・まあ一日当たり100円にできるまでたくさん使うのは不可能ですね。そして趣味もばればれですね。

まあ、日用品や使用・購入頻度が高いもので「100円」目安を意識して節約することで、たまの嗜好品への出費の原資を作る・・というのもアリでしょう。

長くなったのでこれでおしまい。